北本市史 通史編 自然

全般 >> 北本市史 >> 通史編 >> 自然

第4章 北本の気候

第4節 天気俚諺

2 「動物・植物に関する天気俚諺」三二〇例

「動物に関する天気俚諺」に挙げられた動物はアリ、ヘビ、ハチ、カエル、ネコ、イヌ、ニワトリ、オナガ、コイ、アカトンボ、プヨ、モグラ、ツバメ、スズメ、モズ、ウグイス、キジ、カモ、ヨシキリ、カラス、トンビ、ナマズ、ミミズ、クモ、セミ、チョウ、ユキムシである。これらの動物は大部分が市域で日常よく見掛けられる動物である。
一番多かったのは「蟻(あり)の観音参りがあると大雨が降る」(四五例)である。観音参りとは蟻が集団をなして卵を運んだり、巣穴を移動する行動で、似たようなことわざは世界中で言われているそうである。昆虫類(こんちゅうるい)は天気の変化に敏感で、蟻は空中湿度や土壌中の水分変化を感じて巣穴を変えたり、移動したりするといわれる。
それぞれの天気俚諺の科学的根拠については成書があるのでここでは省略する。気候要素の中では雨(大雨、洪水)に関するものが多く、市域で最も関心がある、ないしは恐れられている災害は洪水であることがわかる。
「植物に関する天気俚諺」に種名が挙げられている植物は、屋敷森や家に植えられる木(ケヤキ、カシ、タケ、カキ、キリ、ウメ、コブシ)か、農作物(イネ、コムギ、ナス、トウモロコシ、カンショ)が大部分を占めている。一番多い例の「ケヤキが水上げすると雨になる」は、それまで低温だった大気の中に、急に暖かい湿った風が吹き込むような場合、すなわち低気圧の前面では、大木、石、ビルの壁や床などがびっしょり汗をかいたように濡(ぬ)れることがある。石や木などが空気よりも比熱が大きく、相対的に低温であるため、これにふれた空気が凝結(ぎょうけつ)して水滴(すいてき)が付着するためにこのように言われるのである。
猫が(耳にかかるように)"顔を洗う"と雨が降る
モグラが土盛りすると近日中に雨になる
家のネズミが急にいなくなるのは災害の前兆
イヌが遠ぼえするときは火事がある
鶏の巣上がりが早いと翌日は晴
オナガ(鳥)が鳴いてさわぐと天気は下り坂
ツバメが高く飛ぶ時は晴れることが多いが、低く飛ぶと天気は次第に悪くなる
ツバメが橋の下に巣をつくる時は洪水がない
ツバメは暦(こよみ)で日の良い日に飛来したり巣立ったりする
ツバメの群れが南の方へ飛んでゆくと冬が近い
寒い曇り日にスズメが騒(さわ)げば翌々日は雪
モズの高鳴き七〇日
モズが鳴くと晴れになる
スズメがえさを一生懸命にひろうと雪になる
ウグイスが早く鳴く年は豊年
ウグイスの鳴き声を聞いて春の近きを知る
キジが鳴くと明日は雨
カモの大群が早く来ると早雪
ヨシキリが陸に上がると、大水が出る
水鳥の巣造りの高さで洪水の有無がわかる
カラスが鳴きながら低く飛びまわる時には急に大雨か大風になる
トンビが高く飛べば大風になる
鳥がさわぐと風になる
渡り鳥が早い年は降雪多し
魚が水面で呼吸すると雨になる
ナマズが暴れると地震がくる
アマガエ ルが鳴くと、まもなく雨が降る
蛇が道を横切ると雨が降る
冬眠していたヘビ、カエルが出てくると啓蟄(けいちつ)
カエルが家の中に飛び込むと雨になる
朝、くもの巣が露で白くなっているとその日は晴れ
蟻の観音参り(行列して移動する)があると大雨が降る
蜂が高い所に巣を作る年は大水が出る
秋の夕方、アカトンボがたくさん飛ぶと翌日は天気がよい
夕方ブヨがたくさん飛んでいる時は天気は下り坂
雪が少ない年は虫が多い
クモは大風が吹く前に巣をたたむ
ツクツクホウシが鳴き始めると秋が近い
蝶が飛びだすと良い夭気になる
雪虫が飛び始めると雪が降る
雪降り上りは裸虫の洗濯
ミミズが土から出てくると雨になる
ミミズが鳴くと明日は晴
ケヤキが水上げすると近いうちに大雨
ケヤキの芽ぶきが不揃いの時は遅霜のおそれがある
夕方、イネの葉先に露が上がると明日は好天となる
落葉が早ければ雪が早い
アメフリアサガオの花をとると雨が降る
ウメの花が下を向いて咲くと春雪が降る
タケの花が咲けば凶年(きょうねん)
カキの実の当たり年は台風が来やすい
春、カキの新芽が下にのびたら遅霜(おそじも)・遅雪がある
キリの葉が裏側を見せると雨
ケヤキの芽だちの良い年は雨が多い
トウモロコシが木の途中から根を出すと台風が多い
ナスの豊作はイネの豊作
朝、ナスの葉がピンと立ってっゆがあると晴
コブシの花が咲くと夏は豊作
ヤナギの枝は雪折れなし
カシの木の植え替えはコムギの花ざかり
カンショの花が咲くと、何か一大事がある
花木の花が季節はずれに咲くときは天候不順

<< 前のページに戻る