北本市史 通史編 自然

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第4章 北本の気候

第4節 天気俚諺

3 「農業に関する天気俚諺」七四例

「農業に関する天気俚諺」は、天気・天候と作物の豊凶との関係を述べているものが大部分を占めている。最も多い例は「大雪は豊作の兆し」(一七例)というもので、具体的に米の豊作、大麦・小麦の豊作などと述べているものもある。冬に大雪になるのは大陸の高気圧がよく発達した時で、このような年には夏は太平洋高気圧が発達せず、旱魃(かんばつ)のおそれが少ないためであろうと考えられる。あるいは「冬寒ければ、夏暑し」と言うように、冬寒く、大雪になる年は夏は逆に気温が高くなって豊作に結びつくためと考えられる。
ついで多いのは「十五夜に雨が降ると大麦が不作」(似たような表現を合わせると二九例)である。大麦は市域付近では晩秋に種子まきし、初豆に収樫する。十五夜、すなわち九月中旬の雨と生育期間が冬である大麦の作柄(さくがら)とはどのような関係があるのだろうか。九月十五日前後の東京における降水日の確率は、二〇年間で三八パーセントであって、十五夜が特異日であるとはいえない。この時期の降水は台風によるものであるから、「十五夜に雨」とは台風にしばしば襲(おそ)われる天候不順な年であって、麦も不作のことが多かったのであろう。
大雪は豊作の兆(きざ)し
十五夜に雨が降ると大麦が不作
十三夜に雨が降ると小麦が不作
二十三夜に月が輝くと麦は豊作
梅のあたり年は米も豊作
雷の多い年は米が豊作
しけの年は小豆、金時が取れる
土用三日照ると米は豊作
冬の寒さが厳しいと害虫が少ない
大寒に雨が降らないと田植え水に困る
照る年はごまがとれる
七夕(たなばた)に雨があると豊作である
五風十雨(五日目に風、十日目くらいに雨が降ると作物によい)
霜が降ると野菜の甘みが増す
千日の旱(かん)ばつ、一日の洪水
遅霜ある時は野菜、果物は不作
冷夏の年は、秋凶作
夏、ほうき星が出る年は不作の場合が多い
秋荒れは半作
寒中の南風は俵を編(あ)んで待て
小麦の刈(か)り干(ぼ)しは馬鹿がする
黄色い菊の花盛りが麦の蒔(ま)き時
十一月四日・十四日・二十四日に小豆(あずき)がゆをして来年の作物の早生(わせ)・中生(なかて)・おく生(て)の良し悪しを決める
日照に強い作物が豊作だと、その年は雨が少ない
梅の土用干を三日三晩のお天気でほす
雪の多い年は麦が豊作
田植えの北風どてら着て寝てろ

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