北本市史 通史編 自然

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第6章 北本の生物

第5節 優れた自然

4 北袋付近

写真40 北袋の谷地

市内の北西端の台地は鴻巣市に接している。北袋の台地西側は荒川に面していて上から覗(のぞ)くと崖が切り立っており、はるかに秩父連山、そして眼下に荒川の低地を見下ろすことができる。
北袋の雑木林は八メートルの高さをもつクヌギ林で、その林床(りんしょう)はクマザサにビッシリとおおわれている特異な景観を示しているので一見に値する。
台地は鴻巣市との境となっている谷地に向けて低くなり、次第にアカシデ、コナラ、エゴノキなどの落葉樹が混じってくる。その林床にはアズマネザサ、ヤマツツジ、ヒサカキなどが生えている。北側の谷地にむけて低くなる斜面林は十一 メートルの高さのクヌギやアカシデなどが古い雑木林をつくり、立ち木にはフユヅタがからみついていて自然林の雰囲気がある。この林の中を歩くとヤマユリなどの珍しい植物が見られて楽しい。
林の中には養蜂箱(ようほうばこ)が設置されていてミツバチが飼われている。またセミや鳥類も多いので人のあまり入らない林の自然観察に適している。
北袋の台地を下りると荒川の氾濫原(はんらんげん)に出る。そこでは湿地性の植物が多く見られるが、とりわけミクリ、ツリフネソウ、キツリフネ、オオチドメ、エゾノサヤヌカグサ、タコノアシ、チダケサシなどは珍しい植物である。台地の下から流れ出すきれいな湧き水には、オランダガラシ(クレソン)が生えていて野草摘みの心をさそう。低地の動物もさまさまなものが見られるが、特記すべきものとしてはオオタニシがあげられる。
平成三年(一九九一)ころから市境の鴻巣市側が埋め立てられ宅地開発されているが、市域側の高い台地の上の特異な森林景観と豊かな生物環境は保全することが望ましい。

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