北本市史 通史編 原始

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第2章 豊かな自然と共に

第2節 時期区分と土器の変遷

土器型式は時空を示す
粘土は可塑此(かそせい)に富み、イメージした形や文様を自在に創り出すことができる。加工しにくい石製品と比べると、時間的変化ははるかに激しくなる。時の流れと共に器の形・文様が変化するから、その変化の仕方が認識できれ.は土器の新旧の序列ができる。できあがった土器の序列は時間の尺度にもなる。また、大事なことはある期間に作られ、使われた土器は一定の地域に分布していることである。だから土器を見ると、どの時期に作られたのか、どこの地方の土器かがわかるのである。土器に名前を付けておくとたいへん便利である。そこで、土器にはそれぞれ型式名を付けている。土器型式名は標識となった資料が出土した遣跡名を使うことが多い。埼玉県域では早期の稲荷原式(いなりはらしき)(大宮市・稲荷原造跡)、東山式(ひがしやましき)(児玉郡美里町・東山遣跡)、打越式(富士見市・打越貝塚)、前期の花積下層式(はなづみかそうしき)(春日部市・花植貝塚)、関山式(せきやましき)(蓮田市・関山貝塚)、黒浜式(くろはましき)(蓮田市・黒浜遣跡群)、後期の高井東式(たかいひがししき)(桶川市・高井東遣跡)、後期から晩期にかけての安行式(あんぎょうしき)(川口市・猿貝貝塚(さるがいかいづか))が土器型式名と標識遣跡である。

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