北本市史 通史編 近世

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第2章 村落と農民

第4節 農民の負担

1 年貢の種類

高掛物
高掛物とは、村高を規準として課す租税で本途物成に対する付加税である。天領では御伝馬宿入用(資料中④)・六尺給米(同⑤)・蔵前入用(同⑥)の三種類があり、これを高掛三役と称した。御伝馬宿入用とは、五街道の問屋や本陣の給米その他宿駅運営上の諸経費にあてるもので、高ー〇〇石につき米六升、六尺給米とは江戸城台所人夫の給米にあてるもので高一〇〇石につき米二斗、御蔵前入用とは浅草御米蔵の諸費用にあてるもので高一〇〇石につき関東では永二五〇文、上方では銀一五匁を上納した。これらは、いずれも幕府公定の換算率に基づき代金納されているが、これを御張紙値段といい年貢収納時に江戸城内の中の口に公示され、武士の俸禄(ほうろく)支給などもこれに基づいて行われた。また、包分銀(つつみぶぎん)(資料中⑦)というのは、上納金を金座で封印するときの手数料である。ー〇両につき銀五分と僅かなものであるが、そういうものまで一々取り立てたのである。一方、私領では夫米・夫金・糠藁代(ぬかわらだい)などがあった。夫米・夫金とは夫役のかわりに上納させられた米や金銭であり、糠藁代とは馬の飼料として糠(ぬか)・藁(わら)・草などの代わりに米や金銭で納めたものである。その他、市域の村々においては、綿・荏胡麻(えごま)・大豆・小豆・麦・蕎麦(そば)・味噌・醬油など様々なものが見られるが、これらは一部を除き石代納(事情により米に代えて金銭を納めること)が多かったようである。

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