北本市史 通史編 近世

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第3章 農村の変貌と支配の強化

第8節 生活と文化

2 民間信仰と寺社参詣

念仏供養・地蔵尊
高尾二丁目内路傍に享保十八年(一七三三)造立の地蔵尊がある。この蓮台には「奉造立石地蔵尊寒念仏万人講中為当世二世安楽之也」とあり、土台石には「武州石戸領高尾村講中六十三人袋村講中十一人寒念仏講中三十二人」と刻まれている。念仏に関係した大きな講が結成されていたことがわかる。念仏に行じ敬虔な祈りをささげることは自身の修養教化であるばかりか、この時代にあっては講を通した村落の人々との交流、さらには娯楽的要素が大きかったものと思われる。寺社の参詣、霊場巡りにおいては遊山も兼た娯楽であったであろう。ところで市内の念仏講に関した石造遣物は表44の通りである。全市域にわたって十七世紀後半から十八世紀にわたって念仏講を記念する塔や像が建立されている。建立までは至らぬまでも念仏講が広く結成されていたであろうことは容易に想像のできるところである。
表44 念仏講に関した石造遺物
紀年西暦名称所在
寛文十一一六七一念仏供養塔 古市場三太子堂 
延宝 五一六七七念仏供養塔 石戸宿三東光寺 
宝永 八一七〇九延命地蔵(念仏供養)石戸宿一路傍 
享保十四一七二九地蔵尊(万人識中)高尾八路傍 
享保十七一七三二寒念仏成就所 中丸八安發院 
享保十八一七三三地蔵尊(寒念仏万人講中)高尾二路傍 
延享 三一七四六寒念仏塔 荒井の観音堂 
宝暦 六一七五六地蔵尊(寒念仏供養)北中丸二路傍 
安永 九一七八〇地蔵尊 高尾九路傍 

(『北本市石造遺物所在目録Ⅰ~Ⅲ』より作成)


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