北本市史 通史編 近代

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第3章 第一次大戦後の新展開

第1節 地方自治制の再編成

3 第一次大戦後の村財政

村財政の推移
次に石戸・中丸両村の財政状況についてみてみよう。まず歳出額の推移をみると、図15のとおりである。

図15 歳出総額の推移

(各年度の『村勢要覧』より作成)

この図によれば、第一次大戦直後の十一年度の歳出額は、両村とも五年度の三倍以上に急増している。だがその後は、両者大きな変化はなく推移している。歳出の中味を分析してみると、最も多いのが教育費(小学校費)であって、その村財政中に占める割合は高く、両村とも第一次大戦後は過半数を超えている。
次に多いのが役場費である。歳出中に占める割合は二割強で、教育費と合わせると、八割以上に上る。土木費・衛生費といった費目への支出が少なく、小学校費を主体とする教育費にその多くを支出しているのが、当時における町村財政の一大特色であった。当時の新聞も、「本年度の町村予算は前年に比べて増加 初等教育振興や教員の俸給施設の改善で必然的」(『東京日日新聞』大正十二年五月二十二日、埼玉版)の見出しで、「経費節約をさけぶ今日、増額を見るといふことは奇現象を呈する風に思われるが、これは(中略)やむを得ない」(前同)と報じている。そして、その支出増加分は租税と寄附金で賄われていることを伝えている。
歳入についてみると、財産収入は二、三パーセント程度とごくわずかで、その多くは村税であった。まさしく新聞が伝えるとおりであった。
表52 村税の歳入に占める割合
年 度石戸村中丸村
村税額比率 (%)村税額比率 (%)
大正 5
4,224

70.25

3,528

61.26
  76.97466.388,00471.86
  915,09985.4212,82268.38
  1117,86669.6814,16562.63
  1316,19257.6714,07255.63
  1518,29257.5813,25458.44
昭和 317,66860.5913,69355.16

(注)(村税額の実数は、各年度の『村勢要覧』より作成。円以下は切り捨てる。)

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