北本市史 通史編 現代

全般 >> 北本市史 >> 通史編 >> 現代

第1章 戦後復興期の北本

第2節 町村合併と三十年代の村政

2 町政移行期の村政

遅れた消防施股
昭和二十二年消防組織法の制定により、戦時中の警防団が改組され、戦後の消防団が発足した。防空の任務を併せもった戦時中の組織から、水火災などの防止と生命財産の保護を任務とする平時消防団への転換である。しかし組織がいかに整えられても、装備は相変らず前近代的であった。発足当初の北本宿消防団の装備は、腕用ポンプ十二台を主力に、水桶、竹梯子(たけばしご)、鳶口(とびぐち)、斧(おの)、掛矢(かけや)などを常備する状態で、どうみても「火消し」の域を出るものではなかった(現代No.十ニ~十四)。また、昭和二十四年には火災条例が制定され、北本宿消防団でも学校・病院・大型店舗・劇場・映画館など、多人数の集まるところに消防設備や避難設備の設置を義務づけたが、それも次のように消火器や消火栓程度のものに過ぎなかった。

写真5 北本市初の消防自動車

昭和29年(大島和夫家提供)

一、消防設備第一~三種のうち、一種以上を設置する。
第一種 ポンプその他、放水可能な機械器具(筒先圧カニ十五ポンド以上)および十分間以上放水可能な水源。建物五〇〇平方米につきー筒以上。
第二種 スプリンクラー(放射圧力五ポンド以上)建物十平方米につき一箇以上。
第三種 携帯式消火器(容積・重量、設置数など略)
イ、満水バケツ、桶
ロ、水(炭酸ガス筒入)、水槽ポンプ
ハ、硫酸ソーダ       二、噴霧式圧搾水
ホ、方末          へ、炭酸ガス
卜、ポンプ式又は圧搾(あっさく)式四塩化炭素
チ、砂バケツ        リ、乾燥消火粉末
二、避難設備 床面積六〇〇平方米ごとの設置数
四階 救助袋一
三階 救助袋又は避難梯子(はしご)若しくは縄(なわ)梯子②
二階 避難梯子又は縄梯子若しくは縄又は滑棒を鉄筋コンクリー卜建二、木造三
以上のような状態はほぼ村政期を通じて変らず、その後新しい装備として消防自動車三台、可搬動力ポンプ七台、手押動力ポンプー台が配置されたが、なお予備に腕用ポンプが併用されていた。またポンプのための貯水槽も北本宿に四か所、東間に一か所設備されたのみで、依然井戸水が主な水源であった。

<< 前のページに戻る