北本市史 通史編 現代

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第1章 戦後復興期の北本

第3節 食糧増産時代の北本

8 室とさつまいも

室の温度と湿度の変化
さつまいもの貯蔵期で特に寒い一月(一九九一年一月三十一日~二月六日)に、先に紹介した横田家の室でその内外の温度と湿度の一週間の変化を調べた。室では横穴の中央の所の床面上に自記温度計と同湿度計を、外では同じ敷地にある納屋内の地上一.五メートルに同型の自記温湿度計を設置した。その結果は図6・7に示したとおりである。

図6 室の中の温度(上図)と湿度(下図)変化

(1991年1月31日~2月6日)石戸宿 横田善一郎家

図7 納屋の中(高さ1.5m)の温度(上図)と湿度(下図)変化

(1991年1月31日~2月6日)石戸宿 横田善一郎家

外の気温は最高十一度位、最低マイナス二度位で平均四.五度である。湿度は最高八十九パーセント位、最低四十二パーセント位で平均六十五.五パーセントである。いずれも日変化は大きいといえよう。一方、室内部の気温は八.五度前後を維持し、湿度も九十パーセントと高くほぼー定した値を示した。このように室内部は温度、湿度とも外界の気候変化に影響されていないと判断され、外気は乾燥し寒いにも関わらず、室内は外気と比較し暖かく湿潤な環境といえよう。先に指摘したような外気条件下ではさつまいもは腐ってしまい、また水分が減少し発芽能力を失ってしまう。ところが、室内部においてはさつまいもは腐りもせず乾燥もせず、さらに発芽(はつが)もせずで貯蔵可能な温度・湿度条件にあったといえよう。当室の温度は、いくぶん低いがさつまいもの呼吸による発熱により適切な温度になると思われる。

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