北本市史 通史編 現代

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第1章 戦後復興期の北本

第5節 在方町から衛星都市へ

2 商店の推移・分布と「街の商店・村の商店」

商店の分布と特色
商業発展の動きに先がけて昭和三十四年二月、ようやく形を整えつつあった駅前並びに中山道の商店街を中心に北本商店会が発足し、ここに今日の北本商店街の発展の基礎が確立することになる。北本商店会の発足、いいかえれば北本の商店主たちが新しい経営環境に対応する近代的商業経営の在り方を模索(もさく)していた頃、北本の商店の分布と特色はどうだったろうか。
昭和三十五年当時の北本の商店分布は、駅前や中山道を含む北本宿地区に全商店(二五三)の約半分が集中し、残りは町内各地区に分散立地していた。およそ半分の商店が農村部に分散していたことは、北本に中心商店街の形成が未熟であったことのひとつの現われでもある。分散立地状況を地区別にみると、駅周辺から若干離れた高尾(八)、荒井(ニニ)、石戸宿(一〇)、下石戸上(一七)、下石戸下(二五)などの旧石戸村が残りの七〇パーセントほどを占めていた。これに対して旧中丸村の山中(六)、深井(一一)、古市場(三)、北中丸(五)、常光別所(一)の各地区は、一般に地元立地商店が少なく、人口対商店比からみると北本宿の商店と多分に日常的な依存関係にあったことが考えられる。かつての「村内」という親近感が、両者の結びつきに何等かの影響を与えていたことは否(いな)めない。

写真12 駅前通り商店街

昭和34年ころ 北本

ところで、いわゆる街の商店と農村部の商店とのちがいをみると、街の商店は家具、金物、医薬品、文具、小間物、時計・貴金属、肥・飼料、菓子、酒類、履物、飲食店などいずれも小規模ながら専門店の色彩(しきさい)が濃厚であった。これに対して農村部の商店には食・燃料、雑貨から衣類まで含めた「よろずや」的な店が多く、専門店的なものはわずかに自転車店、米穀商、鮮魚・乾物商、駄菓子屋くらいであった。こうしてみると北本の場合、街から離れた農村部の消費生活は、日用品に関する限りほとんど地元・近隣でまかなわれていて、街の商店に依存する部分は意外に少なかったようである。とくに旧石戸村の西域にはこの傾向がはっきりみられた。

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