北本市史 通史編 現代
第2章 都市化から安定成長へ
第5節 商業の発展と商店街の再編成
1 大型店の進出と地域商業への影響
大型店の進出と地域商業への影響表37 北本市内の大型店
店 名 | 所在地 | 開店年度(昭和) | 取扱品目 | 売場面積(㎡) | |
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一種 | 忠 実 屋 | 中 央 | 55 | 各 種 商 品 | 8,650 |
二種 | 北本団地施設 | 下石戸下 | 46 | 食品・雑貨・衣料 | 1,008 |
三徳ストア | 中 央 | 50 | 〃 | 1,493 | |
マ ル エ ツ | 中 央 | 50 | 〃 | 1,496 | |
埼玉家具センター | 北 本 | 47 | 家 具 | 1,192 | |
ハヤミズ家具センター | 中 央 | 48 | 〃 | 886 | |
鳳 美 堂 | 中 央 | 48 | 衣料・身廻品 | 1,287 | |
小川家具店 | 北 本 | 33 | 家 具 | 648 | |
カスミストアー | 本 宿 | 54 | 食品・雑貨・衣料 | 1,450 | |
小川家具センター | 56 | 家 具 | 1,190 | ||
ド イ 卜 | 本 宿 | 59 | 日 用 雑 貨 | 1,450 | |
ヤ オ コ ー | 下石戸上 | 62 | 食品・雑貨・衣料 | 1,349 | |
ヨークマート | 下石戸下 | 62 | 食品・雜貨・衣料 | 1,330 |
(昭和56年度『商業環境調査報告書』・北本市資料より作成)
昭和五十五年末現在の市域の大型店は表37に示すように第一種大型店一、第二種大型店八の計九店舗となり、売場面積の合計は一万八八九三平方メートルとなった。これは市域小売店の売場面積の四八パーセントに相当するシェアーである。大型店の動向は小川家具店(三十三年)、北本団地中心施設(四十六年)、埼玉家具センター(四十七年)、ハヤミズ家具センター、鳳美堂(四十八年)、三徳ストアー・マルエツ(五十年)、カスミストアー(五十四年)、忠実屋(五十五年)の順に相次いで立地し、小川家具店以外はいずれも北本団地の設立以降に進出したものである。
大型店の分布は北本駅西口周辺に五店が集中し、東口周辺に立地した三店のうち二店舗は大型家具店で、大型スーパーはカスミストアー一店だけであった。西口周辺ないし高崎線西側地域でのスーパーの偏在は、その後の小川家具センター(五十六年)、ドイト(五十九年)、ヨークマー卜(六十二年)、ヤオコー(六十二年)の立地によってさらに濃厚となっていった。
こうした状況の背景として前掲『北本市商業環境調査報告書』は、(一)東口には既成商店街が展開していたが、西口では商店街が未形成であったこと、(二)高崎線西側に市域人口の過半数が分布し、大型店出店の素地(そじ)があつたこと、の二点を指摘している。結局、北本市域は高崎線を境にして駅東口周辺の地元商店街と駅西口周辺の大型店群とに二極分化した商業地域構造を形成していることになる。
写真53 北本駅東口の景観 平成3年 北本
活性化が期待される駅前通り
写真54 北本駅西口の景観(駅前広場) 平成3年 中央
近代都市北本の西玄関の骨格が整う
デパー卜や大型スーパーの出店が、地元商店街や先発小規模スーパーに与える影響は大きいといわれる。そこでこの問題について、第一種大型店忠実屋の進出が地域商業に与えた影響を、前掲調査報告書(調査対象二〇歳以上の女性八〇〇名、回答率八二パーセント、五十五年実施)から具体的にみてみよう。要約すると次のとおりである。まず、週一回以上忠実屋を利用している人たちは鴻巣隣接(原馬室はらまむろ)地区(五二・一パ―セント)、駅西口市街化区域(四六・二パ―セン卜)、同調整区域(四〇・七パーセント)など高崎線西側地域に集中している。一方、東側地域では東間踏切で西側と連絡している駅東口市街化区域(三八・九パーセント)にやや多く、その他の東側地域での利用度は相対的に低調である。
忠実屋を利用するようになった結果、他店での買物頻度が減少したケースを図28でみると、最も大きく影響を受けたのは駅西口周辺のスーパーであり、ここでは忠実屋で買物をするようになった人の四分の一(二三・九パーセント)が、これまで利用していた西口周辺のスーパーの利用を減少させている。同様に自宅周辺の商店(七・五パーセント)、駅東ロ周辺のスーパー(六・五パーセン卜)、鴻巣市内のスーパー・商店(六・五パーセント)などに、来店客減少の影響がみられた。微弱(びじゃく)ながら大宮・上尾・桶川などへの流出買物客をも吸収する動きがでている。
図28 「忠実屋北本店」利用により顧客が減少した商店
(消費者調査『北本市商業調査報告』より引用)
図29 「忠実屋北本店」出店による売上げへの影響
(消費者調査『北本市商業調査報告』より引用)
こうした消費者買物動向の変化が市域の商店街に与えた影響を、商店サイドからまとめると図29のようになる(調査対象一六二店、駅西口・駅東口・北本団地の商店)。以下要約すると、駅東口、同西口、北本団地を問わず過半数の店がマイナスの影響を受け、プラスの影響を認めた商店はわずか二パーセントにすぎなかった。この二パーセントの業種は、おそらく忠実屋と競合しないサービス業、飲食店等で、交通量の重心移行によってプラスの影響を受けるようになったものと考える。