北本市史 通史編 現代

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第2章 都市化から安定成長へ

第5節 商業の発展と商店街の再編成

2 買物動向の推移と商圏

商圏の確立と商店街の問題点
北本の商業力のうち市域並びに鴻巣市原馬室・常光(じょうこう)、桶川市上日出谷(かみひでや)、吉見町東部に対する吸収力はほぼ九〇パーセントに達している。こうした隣接市町村にまで及ぶ商圏の確立は、昭和四十年代前半の北本が近隣都市商業の草刈り場的な市場だったころに比べると、まさに隔世(かくせい)の感を抱かざるを得ない。
しかし、まだ一部の買廻品にみられるように、五〇パーセントを超える大宮や都内への流出も続いている。とくに大宮への流出、いいかえれば大宮の商業力の強化は、新幹線の停車駅になったこと、西口の開発に成功したこと、都内デパートの進出をみたことなどの諸要因によって、都内商業力を一部駆逐(くちく)する勢いをみせている。

写真56 近代化が急がれる中山道通り商店街

平成3年 北本

その結果、北本市民はかっての日用品は地元と近隣都市で購入し、中・高級品は鴻巣、大宮、熊谷で、より高級品は都内でという買物行動パターンを改め、日用品と一部買廻品は市内で購入し、一部の買廻品、とくにファッション性の高い商品や価格的に高価な商品は、大宮又は都内でという行動パターンをつくりつつあるように見受けられる。
北本の商業発展は取扱い品目とシェアーの増大、顧客(こきゃく)吸収範囲からいえるように、近年、めざましいものがある。しかしながら、北本市商業環境調査報告でも指摘しているように、いくつかの欠陥も抱えている。たとえば、北本駅周辺の街区形態とそこに集積した商業機能(業種と規模)に限ってみても、次のような問題点がある。
(一)北本駅東口周辺商店街では、一般住宅と商店が混在して商店密度を低下させている。商店街が複数街区に分散し中核となる街区の形成が未成熟である。さらに中心商業地域の必須(ひっす)条件とされる店舗構成の多様性と専門性に欠け、時代感覚を先取りできるような店も少なく、なによりもアメニティ空間としての要素が不足している。(二)西口周辺商店街は、商店街区自体の形成が不十分で、面的構成はさておいて連続性にも乏(とぼ)しい。そのうえ、点の存在としてのスーパーの集客力に依存し、売場面積ではすでに北本商業の過半を制しながら、買物客の流れをとり込み繁華な街区形に十分役立てるまでには至っていない。

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