北本市史 通史編 現代

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第2章 都市化から安定成長へ

第7節 学校教育の発展と進む社会教育

1 積極的な教育研究

中丸小、ソ二ー賞に輝く
理科教育に熱心な中丸小では、昭和三十九年に鴻巣地区教育研究会から、四十年には埼玉県科学教育振興会から委嘱(いしょく)を受けて理科研究を続け、四十年十月「思考力を伸ぱすための施設・設備の活用」というテーマで研究発表を行った。研究発表の指導者である文部省教科調査官からも「本校の研究は一つの理科研究の拠点になる」と講評されるほど優秀な内容であり、翌四十一年にはソ二ー理科教育振興資金の優秀校に入赏した。同資金はソニー社が理科研究を推進している学校に研究資金を贈るもので、この賞を獲得することは全国的に高い評価を受けたことを示し、北本の教育にとって大変に意義深いものであった。当時県内ではまだ受賞した学校はなく、中丸小が県下初の優秀赏受賞校となった。まさに北本における理科研究の先駆けだったのである。研究内容の中から一部を抜すいしてみよう。
ソ二ー理科教育振興資金応募原稿(抜すい)
「思考力を伸ばすための施設設備の活用」
指導上の重点
校区は、二三条の用水堀のほかは、山も川もない極めて平坦な変化に乏(とぼ)しい地形で、自然からの刺戟(しげき)が少なく、従って自然物を通して実践的に学習する態度に欠け、観念的な知識で早合点する傾向があった。
そこで、科学時代に生きる児童に、できるだけ豊富に自然を再現してやって、しっかりと自物(ママ)に目を向けさせ、自然に働らきかけることによって情操豊かな実践カ、創造力を育てたいと、三十七年度より創意と努力を続けてきた。
  • (一)自然の事象に親しませ、自然から学ぶことによって、豊かな人間性を培う。
  •  〇動物愛護の心情をはぐくむ。
  •   ・巣箱かけ・野鳥のえさ台・小鳥舎・飼育観察池・ふ化池・水族館
  •  〇美化を兼ねた豊かな環境づくり
  •   ・学校園・学級園・温室・育苗床(いくびょうしょう)・花一ぱい運動・一人ー鉢運動
  •  〇自然愛護の発展的目標
  •   低学年 生物に親しみ、かわいがって育てる。
  •   中学年 生物の生活を知り、かわいがり自然物を大切にする。
  •   高学年 自然愛護の心を育て、自然資源の保護と利用に関心をもつ。
  • (二)科学的思考力を伸ぱす。
  •  〇子どもがものを認識する実態を知り、ものの存在、状態、性質を理解できる見方、考え方、扱い方を育てる。
  •  〇前記の身についた能力を、次の学習の基礎とし、系統的に学習することによってより高次なものの見方、考え方、扱い方を伸ばし、創造力、観察力、実践力を身につける。
  •  〇自然の中の素材を教材として見た時、単に学問上の分野という見方で整理するのではなく、児童の認識の実態に即して配列し、構成する(後略)。

(『市史現代』NO.一七八より引用)

ソニー理科教育振興資金応募原稿 二
施設設備の現状と活用
  • ① 緑と花が一ぱいの栽培・・・・自然を愛護し、自然から学ぶ機会を少しでも多くもたせたいという希(ねが)いで、校地内外の各所を利用している。
  •  ① 樹木園・・・・理科だけでなく、他教科の参考植物も多数植え、ラベルは植物名のほか、関係学年、落葉常緑の別、花期及び花の色が図式にかかれ、一見でわかる。
  •  ② 温室、育苗床(いくびょうしょう)、学校園、学級園・・・・四季を通じて緑と花を絶やさぬよう、又児童が土に親しみ、栽培の経験を深め、生物を育てる心情を培(つちかう)う目的で、温室、育苗床で苗を育て、学校圍、学級園に分配している。冬期の温室は大活躍で、真冬でも花が絶えない。(略)
  • (七) 実験器具を生み出す準備室
  •  備品室を準備室と改名して、備品器具材料を単に格納する部屋ではなく、教具装置を作り出す部屋として活用している。木工、金工ができ、ホーム大工セットを中心に各種工具材料が備えてある。
  • (八)「科学する心」を育てる科学館
  •  物理、電気を中心とした一九のコーナーがあり、これらは教師の願いと汗の結晶(けっしょう)で生まれ、子どもたちにとけこんで呼びかけ、科学する心をひきだしている。隅の質問希望ポストには、次々と施設についての要望がよせられている。
  • (九)自から学べる資料室
  •  社会科、理科共用の資料室には図書、スライド、掛図を保管し、クラブ活動、自由研究、学習時に絶えず利用されている。

(中丸小ソー理科敎育振興资金応募原稿より引用)


図33 理科施設、設備配置図

(中丸小ソニー理科教育振興資金応募原稿より引用)


写真68 科学館で学ぶ児童たち

昭和40年

前頁(ハ)に記した「科学館」であるが、これは、当時の五号校舎から職員室のある四号校舎への通路にある旧昇降口を利用して設置したもので、科学現象を身近に、自分の手で実験して感じるという趣旨(しゅし)で作られた。児童達にとっては大変に興味深い内容で、時を忘れ興じたという。また、理科施設、設備も図33のように大変充実しており、理科教育に熱心であったことがうかがえる。


写真69 石戸小の給食風景

昭和42年 荒井 「石戸小学校給食研究発表資料」より引用
昭和42年の石戸小給食の風景であるが、同小では昭和35年に北本で初めて完全給食が行われた。

写真70 石戸小のパラソル給食風景

昭和48年 荒井 「石戸小学校給食研究発表資料」より引用

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