北本市史 資料編 自然
第5章 北本の水
第2節 地下水
3 地下水利用に伴う障害
地下水を水資源として過剰に揚水すると、地下水位を低下させて、井戸枯れや地盤沈下などさまざまな障害を発生させる。若干詳しくみると、地下水は降水や河川水などの地下浸透により補給(涵養)されているが、この補給を上回る過剰な量の地下水が揚水されると、地下水の収支バランスが失われて、まず帯水層の水圧が低下(地下水位の低下)し、井戸枯れなどの地下水取水障害が生じる。地層中の粘土層が広く分布する地域で、、水位低下が継続して起こると、粘土層の間隙水が帯水層に排水されて、粘土層が収縮する。その結果、収縮した量にみあうかたちで地表面が下がり、いわゆる地盤沈下の現象が発生する。地盤沈下は建物の基礎や井戸の抜け上がりなどを招くだけでなく、浸水被害の増加をもたらす。
さいわいにして、北本市域では顕著なかたちで地盤沈下現象が進行していないが、一部では地盤に変動の生じている地区もある(表7)。また、近年廃液(ドライクリーニングや金属部品の脱脂洗浄などに使用される化学物質)の地中浸透、地盤改良剤の地中注入、固体廃棄物の埋め立て処分などによる地下水汚染が社会的な問題となっている。
北本市においては、将来の地下水利用を十分考慮しながら、有効かつ合理的な方策を確立して、量的・質的の両面から望ましい地下水保全と管理を図ることが課題である。
表7 北本市の地盤変動量状況
基標 番号 | 所在地 | 調査開始 年月日 | 各年別変動量(㎜) | 過去5年間の変動量 昭和58.1.1 昭和63.1.1 (㎜) | 調査開始 年からの 変動量 (㎜) | 昭63.1.1 の真高 (T.P) (m) | |||||
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町(字)名 | 目 標 | 昭58.1.1 昭59.1.1 | 昭59.1.1 昭60.1.1 | 昭60.1.1 昭61.1.1 | 昭61.1.1 昭62.1.1 | 昭62.1.1 昭63.1.1 | |||||
48-14 | 石戸宿1000 | 善照寺境内 | 49.1.1 | - 6 | - 8 | + 2 | - 2 | - 10 | - 23 | - 114 | 22,944 |
48-15 | 大字下石戸上1575 | 北本農協石戸支所内 | 49.1.1 | - 3 | - 7 | + 6 | - 2 | - 8 | - 14 | - 85 | 29,774 |
48-16 | 大字高尾2798 | 薬師堂境内 | 49.1.1 | - 5 | - 9 | + 7 | - 2 | - 7 | - 15 | - 80 | - 25,858 |
48-17 | 大字荒井860 | 新井康男氏宅地内 | 49.1.1 | - 2 | - 7 | + 6 | - 1 | - 9 | - 12 | - 77 | 31,153 |
48-22 | 朝日2丁目215 | 無量寿院境内 | 49.1.1 | - 11 | + I | + 2 | - 1 | - 2 | - 11 | - 99 | 16,256 |
491 | 東間6-100 | 黒沢修副宅地内 | 49.1.1 | - 5 | - 3 | + 7 | - 3 | - 2 | - 6 | - 81 | 25,917 |
017-04 | 中丸6丁目 | 国道17号線下り車線歩道上 | 49.1.1 | - 9 | 0 | + 4 | 0 | - 1 | - 7 | - 90 | 18,811 |
017-046 | 北本4丁目 | 中江利雄宅前 | 49.1.1 | - 7 | - 1 | + 5 | - 2 | - 2 | - 6 | - 103 | 22,324 |
017-047 | 深井4丁目 | 国道17号線下り車線歩道上 | 49.1.1 | - 6 | - 3 | + 6 | - 3 | - 2 | - 8 | - 94 | 21,343 |
017-048 | 深井6丁目 | 国道17号線下り車線歩道上 | 50.1.1 | + 5 | - 4 | - 2 | - 2 | 18,884 | |||
58-04 | 中丸6 丁目83 | 北本地下水位観測所内 | 50.1.1 | 0 | + 5 | 0 | - 1 | + 3 | 19,201 |
(埼玉県地盤沈下調査報告書、1988年による)