北本市史 資料編 自然

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第5章 北本の水

第1節 河川

3 河川の水質状況

荒   川
本川の昭和五十七年~五十九年度の水素イオン濃度(pH)は上流部が平均七.八、中流部(北本市)が七.四、下流部が七.二と流下するにしたがって低下しているものの、全体的にアルカリ性の傾向を示している (pH七.〇が中性、それ未満が酸性)。これは、水源が石灰岩を包含する秩父古生層からなる関東山地に発しているためで、上流部において、環境基準値(pH六.五以上、八.五以下)を越える高アルカリ性(実測値pH六.九~九.二)となる場合があるなど、炭酸カルシウムを多量に溶解している点で、わが国屈指の河川である。そのため、水田かんがいにこの河川水を利用しているところでは、水田土壌の酸性化が起こらないため、農家が酸性中和のために石灰を施用する必要がないという。
BOD値(昭和五十七年~五十九年度図4 ・ 5)については、上流部は平均一.二mg/ℓ (最大三.五mg/ℓ、最小〇.六mg/ℓ)であり、基準値の二mg/ℓ未満を占める割合が八九パーセントと清澄である。中流部(北本市)は平均一.九mg/ℓ (最大四.七mg/ℓ、最小〇.六mg/ℓ)で、基準値の三mg/ℓ未満が九〇パーセントを占めており、汚れの少ないきれいな水質を保っている。下流部については、図3のごとく流域の汚濁の激しい都市河川や下水処理場排水(下水道の法的な放流基準は二〇mg/ℓ)などの流入により汚濁がやや進むが、平均四.三mg/ℓ(最大一三mg/ℓ、最小一mg/ℓで基準値の六mg/ℓ未満の割合が八〇パーセントとあまり汚濁していない状態である。

図3 埼玉県水質汚濁状況図(1987年度)

(埼玉県環境白書1988年による)

図4 BOD年度平均値でみた荒川水質縦断変化(1982~84年度)

(「荒川・自然」、1987年による)
上流部親鼻橋でのBOD値の上昇(悪化)は秩父市などの排水の影響、中流部久下柄での上昇は熊谷市の排水の影響である。御成橋での低下(良化)は武藏水路(利根大堰からの利根川の導水)の用水の流入による。
下流部の著しい上昇は鴨川や下水処理場排水(下水道の放流基準はBOD値mg/ℓ )などの影響であるが、河口に近づくにつれ低下するのは海水の希釈を受けるためである。
二瀬ダムにおいて環境基準値を超えている他は、すべて基準値を下回っており、北本市付近はBOD基準値3mg/ℓに対し、 実測値は約1.8mg/ℓとなっている。

図5 荒川のBODの推移(年度平均値mg/ℓ)

(埼玉県環境部資料を基に作成)
1970年代前半は人口増加・生活様式の変化などにより、BODの値がいずれの地点においても高かったが、その後、規制などの効果があらわれ、下流部戸田橋でもB0Dの値が5mg/ℓ以下となった。

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