北本市史 資料編 自然

全般 >> 北本市史 >> 資料編 >> 自然

第5章 北本の水

第2節 地下水

地中に存在する水のうち、地層の間隙(すきま)を満たし、重力の作用によって、自由に動きまわることのできる水を地下水という。地下水は、降水、蒸発、それに地形・地質などの影響を受けて、その量や質が決定される。もともと自然に存在する地下水は、降水の地中への滲透という過程で涵養され、さらに地下水となってからは流動しながら地下の水量やその中に含まれる化学成分の濃度をいろいろに変化させていく(図8)。

図8 地下水の涵養状況

降水は地上に逹した場合、その一部は河川や湖沼に直接入り、さらに一部は地中へ浸透して土壌水や地下水となる。他の一部は 地表からの蒸発と植物表皮からの蒸散となる(蒸発と蒸散をあわせて蒸発散という)。河川水やかんがい水は流出する過程で、地下に浸透もする。逆に地下水は地層中を流動する過程でゆっくりと河川に流出したり、湧水として地表へ出ることも多い。地下水の涵養は地形・地質・植物などの状況に依存する。

地下水は地表水に比べ一般に水質が良好で、水温が安定していること、比較的簡単な施設をつくるだけで容易に取水できること、その上経済的に安価であることなどから、人間生活や生産活動に伴いいろいろな用水源として、古くから盛んに利用されてきた。現在、全国の淡水使用最の六分の一、都市用水の三分の一が地下水によってまかなわれている。しかし、その利用過程においては、自然水塊としての地下水とちがったかたちで、地下水の量や質に変化が生じている。その変化は、特に大都市域の平野部において顕著で、地下水位の低下、自噴の停止、地盤沈下、地下水質の汚染などの現象がみられている。こうした従来の失敗を繰り返さないためにも、地下水の存在状況を正しく理解し、地下水の合理的な利用と保全・管理を行なっていくことが必要である。

<< 前のページに戻る