北本市史 資料編 自然

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第7章 北本の動物

はじめに
昭和二十年(一九四五)ごろまでの北本は、広い雑木林に囲まれた静かな農村で、小動物の生息に適していた。東方の元荒川、西方の荒川には水生動物が多く、河川敷や谷地では湿地性の動物がみられた。
昭和三十年代後半(一九六〇年代)以降は急速な宅地化が進み、台地上の雑木林を伐採し、水田を埋め立てて住宅地が造成されるに従い、身近な動物は次第に姿を消したが、それでも大宮台地の他の地域よりは自然が残っている。特に大宮台地の北西端に位置する北本市高尾から石戸宿にかけては海抜が高く、そこへ谷地が深く入りこむ複雑な地形をなしている。このため、斜面林や湧水に恵まれ、首都圏に残された数少ない良好な自然環境は、動物の観察適地となっている(図1-1、図1-2)。
北本の動物に関する古い記録の一つに、明治四十五年(一九一ニ)編さんの『石戸村郷土誌』がある。
最近では、埼玉県野鳥の会が埼玉県より受託して実施した、埼玉県バードサンクチュアリ基礎調査(報告書は一九八四年に刊行) と、 埼玉昆虫談話会が独自に実施した昆虫類調査(報告書は一九八六年に刊行)がある。これらは、北本市石戸宿の旧農事試験場跡地及びその周辺の鳥類、各種昆虫類についてのかなり精度が高い記録で、北本市の動物の現況を推定するうえでの貴重な資料となっている。

図1_1 地勢外観図(高尾周辺)

図1_2 地勢外観図(石戸宿周辺)

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