北本市史 資料編 自然

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第7章 北本の動物

第2節 北本の水生動物

3 魚類

⑤魚類の最近の様子
埼玉県内に生息する魚類は二二科六三種である。昭和十六年、須甲鉄也氏の報告では一七科四八種である。北本市においては、この四〇年の間に放流魚種が増え、海から遡上するハゼ科などの魚種は減少している。また昭和三十七年頃から水質も汚染され、清流を好んで生息するギバチなども減少している。
最近増えている魚類を挙げてみると次の通りである。
ウナギは、昭和三十年代は市内の荒川・赤堀川・蓮沼等で「おき針」で取れた。その後、水質汚染や堰の建設の影響を受けて、海から遡上できなくなり、著しく減った。昭和五十八年頃より割箸ぐらいのウナギを浜名湖から荒川に放流したために増えている。
天然のアユは昭和初期から昭和二十年頃まで生息し、北本市の荒川は通り道であった。昭和三十三年頃はアユの個体数はめっきり減少した。その後、放流を続けた結果、今では荒井橋付近のテトラポットに付着している水コケを食べている姿を見かけるほどになった。この付近が増水でにごると上流へ移動し、一週間位して元にもどる。
ツチフキは関西地方から放流種苗に混り迷入してきたものと思われる。砂や泥の河床にすみ、北本市の河川環境に適応し増えている。
カムルチーは蓮沼に多く、俗に雷魚(らいぎょ)と呼ばれている。中国が原産地で昭和十二年に移入された。小魚やカエルを食べる。肉はナマズに似ておいしい。つがいで水草などで巣を作り、卵や子魚を守る習性がある。
オオクチバスは蓮沼に多く、洪水のとき荒川にも出る。ブラックバスとも呼ばれ、ルアー釣りのため放流された。日本には昭和十四年に北米から移入された。
その他、タイリクバラタナゴ、ゲンゴロウブナ、ニゴイ、モロコが北本市で増えている。
つぎに最近減っている魚類を挙げてみる。
ウグイは雑食性で荒川の河口から上流まで分布していた。北本市の荒川では昭和六十年頃から急に減少した。最近は荒川に放流している。キバチは水深の浅い、清水域を好む。北本市の荒川に昭和四十四年頃までいたが、その後、ほとんどいないようである。
メダカは小川に生息する代表的な魚類であったが、極端に減少している。冬期はヨシの根に集まって過ごす。
ドジョウは池や用水路・水田に多く生息していたが、昭和三十四年頃より北本市でも減少している。
その他、ヒガイ、スナメドジョウは荒川に昭和三十年代まで生息していたが、今は見られない。

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