北本市史 資料編 原始

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第1章 北本の遺跡概観

第2節 遺跡概観

遺跡の所在分布
平成元年現在、北本市内で確認された遺跡の数は、七一か所である。遺跡密度は、一平方キロメートルあたり三遺跡であるから、埼玉県の密度約二遺跡、全国平均の密度一遺跡よりもはるかに密度が高い。北本地方に遺跡が多い理由は、台地地形に樹枝状谷が発達しているためで、植物・動物の生存上、好適な環境をもっていたことによるものであろう。
北本市内の遺跡の種類は少なく、集落跡、古墳、城館跡(大部分は中世)などであり、貝塚や祭址、交通遺跡や官衙、生産活動に係わる遺跡などの所在は確認されていない。
遺跡の時代別数は、旧石器四、縄文五四、弥生七、古墳一八、奈良・平安一ニであり、年代の長い縄文時代の遺跡が多いのは自然の成り行きである。
遺跡の地域的な分布傾向としては、市域の全地域に分布してはいるものの、現在の北本市の市街地の中心地には、密度がきわめて希薄である。所在密度が高いのは荒川流域の台地上であり、各時代の集落跡や古墳時代(約一四〇〇年前)の古墳群が分布している。これに対して、東部の赤堀川流域では弥生時代以降の集落跡がやや多い傾向が窺(うかが)える。
荒川低地から二隻(せき)の独木舟(まるきぶね)が出土していることも注目され、この低地が大昔は川だけでなく沼や潟のような水域に、しばしばなっていたことを物語っている。

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