北本市史 資料編 原始

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第2章 遺跡の概要

第1節 荒川沿岸の遺跡

北袋Ⅵ遺跡 (大字荒井字北袋)
遺跡は、西側を荒川が浸食し、東側を逆従の谷が浸食して、北方に向かって狭長にのびた台地の中央部に位置している。標高は二九・八メートル。沖積低地との比高差は、西側が十五メートル、東側が十メートルである。遺跡の広がりは南北一七〇メートル、東西一三〇メートルである。北袋Ⅴ遺跡に近接している。
採集遺物は、縄文時代中期の土器・石器と埴輪片である。埴輪片の存在から古墳の存在をうかがうことができる。

図14 北袋Ⅵ遺跡位置図

図15の2の色調は褐色を呈している。幅広の沈線をめぐらし、沈線より上は隆帯に幅広のキザミを深く施している。沈線より下部は単節縄文を縦位に施している。縄文原体は0段多条のRLである。3の色調は黒褐色を呈し、内面は淡赤褐色を呈している。隆帯をめぐらし、幅広のキザミを加え、隆帯両側に沈線を施文している。剝落した隆帯にもキザミが施されていたであろう。2・3は勝坂(かつさか)式。
6は口縁がわずかに外反している。色調は淡赤褐色を呈している。胎土に石英・チャ—卜粒を多量に含み、器肌はザラついている。口唇直下に隆帯をめぐらし、そこから低い隆帯を垂れ下げている。隆帯両側に沈線を沿わせ、内部に撚糸(よりいと)文を施文している。撚糸原体はLである。4・5の色調は淡赤褐色を呈している。撚糸文が施され、4には隆帯を貼り付けている。撚糸原体は4がL、5がRである。1は地文に単節縄文を施し、深い沈線で文様を描いている。縄文原体はLRである。1・4〜6は加曽利(かそり)E式。
7は淡褐色を呈している。胎土に石粒を多く含んでいる。地文に単節縄文LRを施し、沈線で文様を描いている。称名寺(しょうみょうじ)式。

図15 北袋Ⅳ遺跡出土遺物拓影図及び実測図

石器 13は磨石(すりいし)もしくは敲石(たたきいし)。現存長七・二センチ。14は石皿片。よく磨かれている。15は敲石。石材は13・14が安山岩、15は角閃石安山岩(かくせんしきあんざんがん)。
埴輪 9~12は円简埴輪片である。色調はいずれも暗赤褐色を呈している。9・10は低い凸帯をめぐらしている。内面はハケ目を斜めに施している。11は凸帯直下の破片。ハケ目を縦に施し、凸帯直下はヨコにナデている。左端に透孔(すかしこう)の一部が残っている。切り込みは鋭利である。内面はヨコハケである。口は幅広の凸帯で、凸帯の上をナデて凹ませている。凸帯直下も幅広にナデられ凹線状であり、凹線が二本めぐるように見える。内面のハケ目は横位である。

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