北本市史 資料編 原始

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第2章 遺跡の概要

第1節 荒川沿岸の遺跡

下沼遺跡   (大字高尾字下沼)
本遺跡は、荒井橋の上流五〇〇メートルほどの荒川左岸に位置し、東側は、宮岡I遺跡および宮岡Ⅱ遺跡に挟まれた開析谷の開口部付近にあたる。標高は約一五メートルである。
これまでに独木(まるき)舟が二隻確認されており、いずれも荒川の流路に近接する川床から出土している。一号舟は、石戸小学校佐藤正一教諭らによって発掘調査され、かつて同校に保管されていたものである。一端を破損しており、残存長四・六二メ Iトル、残存幅五〇センチを測る。
二号舟は、昭和三十九年三月二十三・二十四日の両日にわたり、慶応義塾大学考古学研究室において発掘調査が実施された。両端を著しく破損しており、原形を復元しえないが、残存長四・五二メートル、残存幅五五センチを測る。内側の凹面は一五センチ前後と浅く、舷側(げんそく)の低い形態である。一・二号舟いずれも断面形が長半円形を呈し、角形をなさない点が共通している。残念ながら時代の指標となる遺物が伴出しておらず、製作年代は明確でない。
出土地点の川岸斜面下部には、マコモなどの未分解層が带状に露出しており、独木舟も同層位付近で出土したものと思われる。遺跡の範囲は明らかでないが、東方の水田下へ広がる可能性があろう。

図79 下沼遺跡位置図

写真39 下沼遺跡1号舟出土状態

写真40 下沼遺跡2号舟出土状態

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