北本市史 資料編 原始

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第2章 遺跡の概要

第2節 江川流域の遺跡

北本宿遺跡 (中央二丁目)
この遺跡は、JR北本駅の西南西約三〇〇メートルに存在する。地形的には、台地の内部に営まれた遺跡であるが、西側には比高二メートルくらいの浅い谷(蔵引の支谷)が入ってきており、遺跡はこの谷にゆるく傾斜する斜面にひろがっている。標高は約二八メートルで、周辺は昭和四十年代当時は畑地や果樹園が多かったが、その後宅地化がすすみ、現在では市街地となってしまった。台地の最も中央部の背稜部近くに立地している遺跡である。
散布している遺物は、加曽利(かそり)EⅠ・Ⅱ式土器を主体とするもので、七〇×一二〇メートルの範囲にわたって濃密に分布している。この遺跡はまだ発掘されていないが、遺物の散布状態や立地から推測して、縄文時代中期の相当大規模な集落跡であると考えられる。
写真101の上は石皿で、木の実、草の根などをすりっぶすための石器である。石皿の稜(りょう)にある五つの穴は、堅い木の実をうちつぶすときのものと考えられる。石質は利根川水系の安山岩製である。写真101の下は荒川水系の緑廉(りょくれん)片岩製の凹み石である。たくさんの穴は、発火法の火錐(きり)棒をもみ込む穴とも、木の実をつぶすときに実を入れる穴ともいわれているが確かなことはわからない。
なお、この遺跡の西側支谷越しに下石戸下遺跡が対峙(たいじ)している。

図199 北本宿遺跡位置図

写真101 北本宿遺跡出土遺物

写真102 北本宿遺跡現状

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