北本市史 資料編 原始

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第2章 遺跡の概要

第3節 赤堀川流域の遺跡

雑木林(ぞうぎばやし)遺跡 (深井四丁目)
この遺跡は深井地区のほぼ中央にあって、寿命院の北方、深井松村家の西側に位置している。国道一七号線の西側である。地形は西から東へゆるやかに傾斜しており、標高は二五〜二七メートルである。遺跡の中央部には東側から低地が入り込み、その低地に臨んだ地域に土器片が散布している。現状は畑地である。
遺物の散布範囲は一五〇×二〇〇メートルにわたっているが、低地の北側では縄文土器の繊維系(前期)や加曽利(かそり)E式が散布しており、南側では古墳時代以降の鬼高(おにだか)式や中世の陶器片が散布している。
図204は、雑木林遺跡から採集された遺物の拓本及び実測図である。1は撚糸文(よりいともん)を施文した加曽利E式土器の破片である。2・3は縄文と沈線文の組み合わせの加曽利EⅡ~Ⅲ式の土器片である。6は動物の皮・肉を剝がしたり、切ったりするときに使われるスクレイパー、7は剝片を取り剝がすための石核(もと石)である。5は古墳時代の甕の口縁部の破片で、鬼高式に分類される土師器(はじき)である。4は中世の雑器の破片である。
この遺跡は、まだ未発掘のため詳細はわからないが、縄文時代から中世にかけての相当規模の大きい複合遺跡であると推察される。

図203 雑木林遺跡位置図

写真105 雑木林遺跡現状

図204 雑木林遺跡出土遺物実測図及び拓影図

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