北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第1章 生活の場と民俗概観

第4節 民族とは何か ―民族知識を例として―

婚姻に関するもの
赤飯の汁かけ飯は、嫁に行けぬ。
お竈様は、嫁を見つけてくれる神様だ。お竈様をよく祭るといい縁談がある。
嫁が婿の家に入る時、トボクチで松明を燃やし、嫁にまたがせた。
嫁入りして来ると、まず嫁ぎ先の竈神様を拝んでから座敷に上がる。大神宮、仏壇、稲荷様も拝む。
御祝儀のイチゲンの客は縁側から入る。嫁を送る方のイチゲンの客も縁側から出る。嫁が出た後、座敷を箒で掃き出す真似をする。
御祝儀のイチゲンの客には、最後にうどんを出す。ツルツルカメカメ (鶴亀)で縁起がよいといい、細く長く続くようにとの縁起からだという。
八朔の節供には嫁がショウガを持って里帰りする。帰りには、早く身ごもるように実家から箕やザルを持って来る。子供が腹にいるときは、ザルは持たせない。流産してしまうからという。
二組の婚礼が同じ道で行きあうと、どちらかが負けると言って嫌い、必ず別な道を通るようにした。
婚姻習俗には、古い呪術的なものがかなり残存している。よく葬式と一見(結婚式)は同じだと言う。どちらも帰って来てもらっては困るからだそうである。
しかしそれだけでなく、肉体と霊の移動という点で、より深層で共通しているものもあるであろう。
嫁の入家式の折りの儀式には、嫁の霊魂の安定をはかる儀礼的・呪術的行為、清めの迎え火、主婦になるために何より大事な嫁ぎ先の火の神に参らせる儀礼、などが含まれていると考えられよう。

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