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第11章 伝説・世間話・昔話・諺

第2節 世間話

10 寿命院の井戸水
昭和三十五年ころまで、現在のTガス会社の辺り(深井八丁目)には、かなりの数の清水がこんこんと湧きでていた。
これと関係があるのだろうか、とにかく、寿命院の井戸水は実に冷たくてうまかった。また、井戸の底をのぞくと、水はいつも渦を巻き五月霧がたちこめていた。渦巻く清らかな水にちなんでか、寿命院の寺紋は「卍巴(まんじともえ)」である。
水はいくら汲んでも汲みきれなかった。かって、暑い盛りに、この寺の脇を通る加納天神道を行く人は、冷たくうまい水が飲めることに元気づけられ歩って来たことであろう。
なお、昭和六十二年に行われた「埼玉博」では、全県の市町村から集めた銘水を紹介したが、北本市からはここに述べた寿命院の水が選ばれている。
  ▽話者・・・山崎峰寿さん(深井昭和七年生)

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