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第11章 伝説・世間話・昔話・諺

第3節 昔話

8 親捨て山
ここの殿様は年寄りが嫌いでね、みんな姥捨て山へ捨てちゃうんだって。そしたとこんが、ある時、殿様同士で仲が悪くってね、隣の殿様から灰で縄なってこいっていわれてね、どおしたらよかんべっちゅうわけで、殿様の下の家来が皆で考えちゃってどうしたらよかんべと。
そしたら、ある孝行息子がとうちゃんを姥捨て山へ捨てるのがいやで、縁の下に隠しておいたんだって。それで、こういうわけなんだってとうちゃんにいったら、それじゃなんだって、藁を固くなってね、それをそおっと燃せば灰で縄ができるからって。
それで、そいつを隣組の殿様のとこに持って行ったら、そいなもんできるはずねえと思っていたから、たまげちゃったって。
殿様がどうしてできたんだって。お前に褒美をとらせるってわけなんだって。そしたら褒美はいらねえからって。実はこういうわけでもって、縁の下に隠しといた親が教えてくれたんだっていったんだって。
それからこっち、なんだって、年寄りはもったいないてんで姥捨て山へ捨てなくなったんだって。
それは良く聞きましたね。六十二になれば姥捨て山に捨てちゃって、へ死んじゃったってね。
おんぶして捨てに行ったって話もあるね。
そしたら、おぶってくのが帰りに道がわかんなくなっちゃって、目印に木を一本つ折って行ったってね。
それまでにその親は苦労してるんだってねえ。
  ▽話者・・・福島とうさん(荒井明治四十一年生)

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