北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第2章 社会生活と親族

第3節 村の運営

2 村の役員

村を代表するのが部落長あるいは区長である。区長の場合は自治会の区長と区別がつかなくなっている場合もある。宮内では昭和初期まで部落長と副部落長がいて村の上から部落長を出せば、村の下から副部落長を出していた。任期は二年で、地付きの有力な人物を前任者が選び皆にはかって決めたという。深井では区長は任期二年で隣組の伍長の選挙によって決めた。また、町場の本宿においては長は土地をもっている有力者どうしの相談で、その有力者の中から選ばれ、任期については特に定めはなく、二年ほどつとめた人がいれば、一〇年以上の人もいるという。この部落長あるいは区長がどのような仕事をしていたかについては、すでに人々の記憶においては曖昧になってしまっているが、新年会、忘年会の世話、村全体の旅行の世話などが聞けた他、宮内では役場からの通知は区長に来て、区長から各組の組長にまわっていたといわれ、今日の自治会の区長が行っている、行政と地域のパイプ役もうけおっていたと思える。
これ以外の村の役員については、現在では自治会の区の役員として位置付けられており、その概要についてはこの節の最後を参照していただきたい。しかし、伝統的なものとして今も生き続けているのが氏子総代、宮世話人などの神社関係の役員である。荒井の東原・馬場・荒久保・風原・荒上手、南の各部落で祭る須賀神社の氏子総代は、各部落からひとりずつ選ばれた。任期は今は二年と決まっているが、昔は特に決まっておらず、一〇年以上つとめた人もいた。また、東原代表の氏子総代は東原の浅間神社の総代も兼ねている。北本宿の天神社の世話人は各組合から一人選ばれる。これは回り番ではなく、有力者が続けて選ばれることもあったという。これらはいずれも祭礼時に余興の世話などをする役目を任っている。この他、深井では公会堂の管理役員を決め、七夕の日と彼岸の日に草とり、掃除をしている。

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