北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第2章 社会生活と親族

第3節 村の運営

5 自治会

北本市域では自治会の単位は区と呼ばれ、その下部組織として班がある。区の規模はおおむね五〇戸から一〇〇戸、班は五戸から一〇戸である。自治会は区長、納税組合長、年金委員、衛生部長、会計、会計監査、農業委員などの役員をおき、事実上、市の行政の末端部分として機能している。班は所謂、「回覧板の回る範囲」と考えてよい。しかしながら、区・班によってはこれまで述べてきた村の機能と運営形態をあわせ持つ場合がある。これは戦後、区や班がどのように形成され、変化してきたか、とりわけ戦後、新しく北本市民となった住民を自治会組織の中でどのように位置付けてきたかと関連して、区・班により様々なありかたがみられる。たとえば荒井地区においては南が西一〇区、東原が西一一区、風原が西一三区といった具合に区と大字あるいは部落単位に自治会の区が置かれている。新しい住民が自治会組織に組み込まれる場合でも、大字の範囲内においてである。しかし、新しい住民をどのように班組織にくみこむか、あるいは人口が急増する中で班そのものをどう組みかえていくか、伝統的な組合(隣保班)はどうなるかについては様々である。
荒井地区の風原は、自治会組織としては西一三区であり、第一班、第二班、第五班の三つの班がある。このうち、第一班と第二班は戦前からの家からなり、風原の「マエグミ」が第一班、「ウシログミ」が第二班である。第五班は新しい家だけで構成されている。第一班と第二班は祝儀・不祝儀について「クミ」としてのつきあいをしているが、第五班は回覧板が回る以上のつきあいは無いという。また、南は西一〇区であり、九つの班があるが、戦前からの家は全て第五班に属している。この第五班についてみると、現在一一戸から成るが、そのうち七戸が古くからの家で「オクミアイ」としてのつきあいをし、残りの四戸とは回覧板の回る程度のつきあいしか無いという。また、荒上手では自治会の班を組合とは別につくっており、班は地方行政上の機能以上は持たない。
前項でのべた村の行事、集会は、現在ではほとんどの地区で自治会(区)の行事として位置づけられており、近年では公会堂の建設、整備によって活動が保障されている。

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