北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第2章 社会生活と親族

第4節 村の中の諸集団

5 代参講

講には頼母子講・無尽講のような金銭を目的とする経済的な講と、信仰を同じくする者同士が集まる講とがあり、村の中には様々の講組がある。ここでは信仰的な講の一つに数えられる代参講を見ていくことにする。代参講は信仰上の講組とは言っても、地域のまとまりそのものである場合が多いからである。
信仰的な講には、他に稲荷講・庚申講・念仏講などがあるが、それらは信仰の章で紹介する。
代参講とは、近県の特定の神社に、村毎信者となり、信者仲間が毎年一回、代表を送って参拝を続けるものである。村の代表者が参拝することを代参といい、その年代参するための費用を仲間で平等に負担する。そして仲間全員の代参がすめば完結するというものである。
代参者を選出するために村では毎年集まりを持ち、また信仰的な行事を行う。昔は今の時代ほど旅行をしなかった。何年かに一回の代参の旅は世間を知る貴重な機会であった。そのような旅を共にすることで仲間同士の繫がりは強くなる。それがそのまま村社会の結束であった。
北本市内で聞く事のできた代参の神社は、神奈川県の大山の阿夫利神社、群馬県の榛名神社、長野県の戸隠神社、茨城県の笠間稲荷、千葉県の成田山新勝寺、東京の御嶽神社、埼玉県三峰神社などであった。中でも多くの村々で行っていた講は阿夫利神社に対する大山講(石廊講ともいう)と榛名神社に対する榛名講とであった。
阿夫利神社への参拝は、男子が一人前になる時の区切りとして行われており、榛名神社へは農耕の無事と豊作を祈るものだった。
次に幾つかの村々の代参講の様子を具体的に見ていこう。

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