北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第3章 農業と川漁

第6節 川漁と狩猟

2 狩猟

野ウサギ猟
野ウサギ猟もビクタを使った、十二~一月の冬の猟である。ウサギ猟のビクタを掛ける場所は、畑の境に植えられたサカイギ(境木)の根元であった。境木はニシックリと呼ばれる樹木で、食物の少ない冬にウサギはこの枝を食べに来る。そして、ウサギは枝を食べながら、木の周囲を回るので、その時かかるようにビクタを仕掛けておく。ビクタの大きさは、少し小さ目の〇.五号であった。
肉は食用となり、皮は防寒衣料の素材となるが、野ウサギの皮はあまり質の良い物でなく、乾燥した紙のようにヒビ割れしやすかった。皮は皮屋に買い取られるが戦前で五〇銭そこそこであった。しかし、それほど買い取ってくれぬので、第二次大戦中は供出した。供出するとお金ではなく、木綿糸四貫目が支給された。長澤さんが一冬に獲るのは一〇頭程度であったという。
なお、野ウサギに豆を食われるので、昔は秋に農家の人が共同して網を張り、山から追い出してきて獲ったとも伝えられる。

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