北本市史 民俗編 民俗編一覧

全般 >> 北本市史 >> 民俗編 >> 民俗編一覧

第3章 農業と川漁

第6節 川漁と狩猟

2 狩猟

スズメ猟
スズメの猟はカスミアミ(霞網)とムソウアミ(無双網)を使って、十二月から二月までの猟期で行われた。
カスミアミは、荒川沿いの葦原に張られた。張り渡すカスミアミの広さの葦を踏み倒しておく。そして、葦原が六尺の高さであれば六尺の棒を立て支柱とし、そこに網を張った。網は幅六尺で長さ五間と四間のものがあり、網目は六分であった。第二次大戦中に使い始めたといわれる。
ムソウアミは、冬場に地の乾く田で行った。囮(おとり)のスズメに集まるものを一網打尽にする猟で、幅四尺・長さ二間の網二枚が使われた。囮は三〇羽程のスズメを籠に入れ中央に置き、それを挟んで八尺~一〇尺程の間をおいて、二枚の網を並べて寝かす。網の両端には棒が付けられ、網がちょうつがいのように動かせるように、棒の一端を地に止める。そして、棒の地に止めぬ側の端に、長さ三間ほどの綱を付け、それが外側になるように網を地面に広げておく。囮の周辺にスズメの群れが舞い降りると、網を引き起こし、その群れの上に伏せてとる。その時、二枚の網がうまく重ねて被さるように、片側の網の棒に付けた綱を少し短めにし、網の動きがずれるようにしておいた。ムソウアミを張るのは誰の田でもよかった。とったスズメは皮屋が買い取っていた。

<< 前のページに戻る