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第3章 農業と川漁

第1節 畑と畑作物

3 畑作の過程

(一)麦
畝立て
畑にサクを切るのは麦蒔きの直前である。サクの間隔は、古くは一尺八寸にしたという人もあるが、大正末・昭和初期には二尺が普通だった。
畝(うね)立てにはいく通りかがあり、四尺の長さの棒を用意し、これで間隔をとりながらまず四尺間隔にサクを切り、次にこの間にサクを切る方法、二尺間隔に縄を張り、縄を両端で引き合ったり縄の上を歩いて畑に筋を付け、ここに鍬(サッキリグワ)でサクを切る方法などがある。いずれもサクは二尺間隔になるが、前者は四尺幅の間のサクは、目分量で切るので間隔を計る手間が少し省ける。そのため二尺ごとに計ってサクを切るのは、丁寧な家で行ったという人もある。サクの間隔を計るのに使う棒はシャクリ棒、筋を引く縄はウネヒキ縄といい、シュロ縄を使った。シュロ縄は藁縄より丈夫で、農家ではシュロの木を屋敷内などに植えておき、この皮を採って縄になったのである。ウネヒキ縄は、普段はシャクリ棒に巻き付けておいた。

図2 鍬(風呂鍬)

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