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第3章 農業と川漁

第2節 水田と稲作

3 稲作の過程

(一)摘み田
代ごしらえ
摘み田では植え田に比べて入念な代ごしらえが行われた。前記のフンゴミもこの作業の一種といえる。代ごしらえは土をさらに細かくしながら田を平らに均すのが目的で、タコスリとかコスリマンガ、ツブテックシなどと呼ぶ道具で行った。これは一尺五寸ほどの角材に六本くらい細い歯を付けたものである。畑の整地にも使われるが、田で使うコスリマンガは木の歯の方が良いという。鉄の歯だと土の中にうない込んだ稲株に歯が引っかかり、表に出てしまう。木の歯だと軽くて歯が浮くので土だけ撫でることができるからといわれている。

写真17 代ごしらえ

(最後に梯子をひいて平らに均することもある 石戸宿)

代ごしらえは田摘みの一~二日前の仕事であり、タコスリで均してからさらにテジ口 (手代)といい、田の中をはいつくばるようにして後退しながら両手で表面を撫で、手に当たる稲株などを上の中に押し込んだ。手代はタコスリを行った後、あるいは翌日で、特別の作業ではなく、北本ではどこでもしていたようである。
こうして代ごしらえが終ると、田に種蒔きの目印である筋を引いて田摘みとなるが、筋を引くのは代ごしらえ後、一日おいてからが望ましいという。田の土が落ち着いてないからで、水が多すぎて土がドロドロした状態の時には水を抜いて田を干すようにした。土が軟らか過ぎると、摘んだ種籾が土の中に沈んで芽だちが悪くなる。

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