北本市史 民俗編 民俗編一覧

全般 >> 北本市史 >> 民俗編 >> 民俗編一覧

第3章 農業と川漁

第2節 水田と稲作

3 稲作の過程

(一)摘み田
田摘みの禁忌
田摘みの作業自体には禁忌はなかったようだが、これを行う日についてはいくつかの伝承がある。たとえば下石戸下では、卯(う)の日に摘むと膿(う)むといって行わなかった、田摘みの初日は卯の日はよくない、この日に始めると種籾が膿んでしまうなどという。北中丸では巳(み)の日に田摘みをするのをいやがった。これは「竜(辰)でまきあげ、巳(箕)でこぼす」というからだという。しかし、辰と巳については、高尾では田摘みをする日は、田摘みは辰巳なので辰の日と巳の日に行うとよく根が立つともいう人があった。
卯の日の禁忌は他地区でも聞かれ、市内では広くいわれていたようだが、すでに現在の古老の世代では伝承が薄れ、きちんと守る人は減っていたようである。なお、卯の日には蒔きもの(畑作も含め)をしないという伝承は、北本だけでなく大宮台地一帯の地域でいわれている。

<< 前のページに戻る