北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第3章 農業と川漁

第1節 畑と畑作物

2 畑作物

禁忌作物
畑作では水田稲作と違って、多種の作物が作られ、しかも時代によって移り変わっている。変化は決して単純ではないが、こうした畑作物のなかには、家によって代々作ってはいけないと伝えられているものがある。家例としての伝承であり、たとえば荒井のある家ではショウガを作ってはいけないとしている。ただし、食べるのは構わず時期になると親戚が届けてくれるので食べるという。また、同じ荒井のある家ではキュウリを作っても食べてもいけないと伝えている。戦後になって学校給食が始まり、これにキュウリが出て娘が家の伝えを守って食べず、叱られたこともあった。他家に嫁に出た場合は食べてもよいという。この家ではキュウリの他にトウモロコシも食べてはいけないと伝えている。
キュウリは作るのはだめだが、食べるのは構わないとしている家もあり、深井では「と」のつく作物、たとえば卜ウモロコシ・トマト・トウナスなどを作ってはいけないという家もある。作ることを忌む作物の種類は、多くはないが、こうした家例を伝えている家は市内各地にあり、決して特別の伝承ではない。

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