北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第3章 農業と川漁

第3節 肥料と客土

1 肥料

購入肥料
灰は購入することもあったが、基本的には自家で出たものを使った。これに対して足りない分を買い、求めるというのではなく、すべてを買う肥料としては、古くから豆粕・干鰯・油粕などがあり、桶川や鴻巣の肥料屋から買っていた。桶川には成井、岩崎などの肥料屋があり、北本の本宿にも三須肥料店があったという。干鰯は莚の俵に入っており、豆粕は豆板と言って丸い板所になっていた。これらは臼に入れて搗(つ)いたり専用の削り機で削って細かくしてから田畑に入れたのである。
豆粕・干鰯・油粕の他にワタダルといって魚の腐ったアラを買って肥料としたり、過燐酸石灰も古くから使った。これらはそれぞれ単独でも使われたが、いくつかを配合して施すこともあった。肥料屋への勘定は春蚕が終って繭の代金が入った後と暮れの二回が普通だったという。化学肥料が出回って誰もが使うようになったのは昭和三十年ごろからで、田に石灰窒素を入れるようになってからは、ヒルンベイ(ヒール)がいなくなったりもしたといわれている。かってはドブッ田にはヒルが多く、モモヒキの裾をめくって田に入ると足のあちこちに吸い付いたという。

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