北本市史 民俗編 民俗編一覧
第3章 農業と川漁
第4節 養蚕と桑苗生産
3 豊蚕習俗
蚕 の 神 様高尾の永川神社のところに祀(まつ)られている弁天様は、蚕の神様として信仰されていた。四月七日に弁天講をし、役員が寄って神官が祝詞をあげ、「養蚕御守護」と書いたお札が高尾中に配られた。農家はそのお札を蚕室に貼った。農家は蚕があがるたびに、よい繭が取れた礼と、次回の豊蚕を願い、繭を五~六個糸で縛り扉の格子に下げた。
北中丸では講を作り、筑波山の籠の蚕影(こかげ)神社へ代参でいっていた。戦前には弁当を持ち自転車ででかけたという。また、ほうぼうの神社では三月の節供ごろに蚕の御祈禱をしていたという。
また、個人で祀る氏神の稲荷様に、繭を供えることもあり、下石戸上ではそうした稲荷の小祠に、最初にできた繭を供える家があった。