北本市史 民俗編 民俗編一覧

全般 >> 北本市史 >> 民俗編 >> 民俗編一覧

第3章 農業と川漁

第4節 養蚕と桑苗生産

4 桑園の管理

桑の仕立て方
桑の苗丈は一メートルニ~三〇センチで春の彼岸ころに植えるのが目安である。この植えた苗を育てて、良質の桑葉を収量多く取れるようにするのは、養蚕農家の仕立て方次第である。条桑育が行われるようになってからは、葉を付ける枝をできるだけ多く毎年出すことが求められるようになった。そのため桑の幹の芯を止め、そこから徒長枝(とちょうし)のような新しい枝を沢山出す仕立て方になった。この仕立て方も第二次大戦の前後で変化している。戦前は根刈仕立てであったのが、戦後は中刈り仕立てとなった。根刈りは、地面から一〇センチ程の所で桑の幹の芯をつめ、中刈りは地面から三〇センチ程の所で芯をつめる仕立て方である。収量も根刈りより上がるといわれ移行した。また、これは除草剤の使用が増え、それによって、枝分かれした新芽を痛めないようにするためでもあった。しかし、幹が長いので害虫のケバキリ虫がついて越冬してしまうので、昭和五十年ころに再び根刈りに戻ってしまった。
苗を植えた年は、三本程度が出て、一メートルニ~三〇センチに伸びる。そして三本出たものであれば、翌年は八~一〇本の新しい枝がでる。また最初の年は基本的には桑葉を使わないが、秋に枝の先を切って晩秋蚕に与えることはあった。この時残す枝の長さは七五~八〇センチでその長さは、条桑育によって決まった。

<< 前のページに戻る