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第6章 衣・食・住

第2節 食生活

1 食料と食事

食生活のしつけ・禁忌など
話をしながら食べると叱られた。林がたくさんあったので、キノコをとって食べることを注意された。食い合わせでは、生卵とトコロテンを一緒に食べてはいけない。また、テンプラとスイカもいけないという。
妊産婦は食べてはいけないものがある。秋ナスは種がないので、嫁には食べさせない。ゴボウの種を飲むと流産してしまう。四つ足の肉も食べない。妊娠するとニワトリの肉を食べたり、ニワトリのようにお産が軽く済むように卵を飲む。実家からコイ(鯉)が送られてくるので、それも食べる。出産すると、これも実家からきた米で作ったカユ(粥)やカツオブシ、味噌などを食べ、油物や黒砂糖はいけないという。
汁かけ飯は嫌がられる。これは葬式の出棺の前、僧侶が経を読んでいる最中に汁をかけた飯が参列者に回り、一人一人が一本箸で食べる真似をするためで、普段のときに汁かけ飯をすると叱られた。汁かけ飯は犬になるからいけないともいった。
市内各地にはキュウリを作らない家や寺があり、さらに、キュウリは二つ切りや斜め切りにして輪切りにしない。また、正月の三ヶ日は、普通餅の入った雑煮を食べるが、高尾や石戸宿などでは餅を食べない家が幾軒かある。キナコ餅は仏が泣くから作らないという家もある。

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