北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第6章 衣・食・住

第2節 食生活

2 日常の食物

漬物
漬物はダイコンのタクワン・ハクサイ漬け・梅干し・ラッキョウ漬け・ナスやキュウリのぬか漬けなど各種のものがあり、日常の食事に欠かせない副食であると同時に、コジュハン(間食)などにも食べられた。現在でも作られているものが多い。
タクワンは秋に抜いた大根の細かい毛を取り、家できれいに洗う。そして葉を半分くらい切って四本ほどを束ね、棒を渡したものにつっかけて、一週間くらい干しておく。この間、霜をかぶると皮がむけてしまうので、夜にはムシロをかける。干す場所は日なたでよい。三日月型まで曲がるようになったら頭の部分を切り落とし、家で米をついたときに出るこぬかと塩を一緒にして漬け込む。こぬかと塩の量は、こぬかが七升なら塩三升というように、あわせて一斗とした。大根は四斗樽一本に、普通の大きさなら一〇〇本、小さいもので一二〇本くらい漬け込める。四〇日くらいで食べられるようになり、キュウリやナスが出てくるころまで食べていた。タクワン作りは、大根を収穫後、十二月初旬から始めて冬至までにはやらないといけない。また、大根を抜くのが遅くなると、大根に穴があいてしまって味も悪くなるので注意する。これは女の人の仕事で、その家にもよるが一冬に四斗樽一~三本くらい漬けていた。
ハクサイの漬物は、タクワンと同様に一二月に漬けるが、タクワンよりは少し早くする。ハクサイをとり入れてよく洗い、四つに切り分けて四斗樽に塩だけで漬け込む。こちらは三、四日くらいして水があがれば食べることができた。やはり年に四斗樽で二本も三本も漬けた。

写真12 梅の土用干し

(荒井北袋)

梅干しは、六月の中旬ころに、自分の家にある梅の木から実を取り、すぐ水にとって一昼夜くらい漬ける。こうすると梅の酸味が出ていく。そして水をきって塩だけでかめに漬け込む。
ラッキョウ漬けは七月初めに行う。ラッキョウとジャガイモはハゲン(夏至から一一日目で七月二日ころ)前に採つた方が良いといって六月末までに収穫し、その後漬ける。一斗入りの焼酎がめに、ラッキョウと飯茶椀一杯分の塩を入れて台所の隅に置いておくが、ラッキョウのコロガシ漬けといって、そこを通るたびにかめを転がしていると自然に漬かる。
このほかに、味噌を仕込むときに大根などの野菜を一緒に漬け込んだ味噌漬けや、醤油をしぼって最後に残ったオドミに、大根を薄く切って漬け込んだものなどもあった。

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