北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第6章 衣・食・住

第3節 住居

1 屋敷取り

庭木
デエから見える庭の右手隅のほうには、ツボノマ・植木場等という植え込みを作る家もあった。松、楓などを植えたり、藤棚を作ったり、石を置いたり、小さな池を掘ったりした。
その外、庭の周囲にはさまざまな木が植えられる。たいていの家は数本の柿の木を植え込んでおく。梅の木、ユズ、ザクロ、イチジクも見られる。年中行事などに必要だった桃の木、ニワトコ、ショウブ、ホウズキ、ボンバナなども庭の片隅やケードの端などに植えておいたものである。子供がひきつけをおこしたときに必要だったユキノシタは井戸のそばなどに植えられた。高尾では、氏神様の近くにはヒイラギが必ずあったものだという。ヒイラギを入り口の左右に植える家がある。疫病などの魔除けという。ミズキは新築の家に贈られる。水が連想され、火事にならないと喜ばれるのだという。高尾では、かつて、屋敷や畑の周りに桐を良く植えたものである。女の子が生まれると植え、嫁入りにはその桐で箪笥を作って持たせてやったのだという。
庭木として忌まれる木もある。
ビワは前に植えてはいけない、病人が絶えないという。サルスベリは公の場所、寺以外は植えるものではない。すべる(身上が傾く)からだという。

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