北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第6章 衣・食・住

第3節 住居

5 建築儀礼

ジギヨウ
土台となる部分の地搗き作業である。
まず、水張り器でジナワハリ(地縄張り)をし、土台が水平になるようにする。この作業を、かっては、ミズモリ(水盛り)といった。このさい、棟梁・鳶の頭は建て主に立ち会ってもらい、メグシに縄を張り、設計図(絵図板)と建物の位置の確認をする。
次に、土台にあたる部分に溝を掘る。これをネギリ・ジボリという。ネギリした溝には玉石を割ったワリグリイシを入れ搗き固める。
地搗きのためのヤグラを建て終わると、シンボウダテの祝いといって、酒を一杯飲んだ。
地搗きはジギョウ、またはジガタメ(地固め)ともいい、「木遣り」の調子に合わせ、二日間位搗いた。特に、大黒柱や二階の四隅などは良く搗いたものである。今日では、ランマーで搗き固めてしまうが、かつては、三脚を組んだ引き綱八本の「タコ」か、四本足のやぐらを組み、綱の引き手が一〇人以上になるシンボウドウヅキ・シシンボで搗いた。シンボウドウヅキは、径一尺、長さ一〇尺のケヤ(欅)を一メートルくらい滑車で引き上げ、どすんと搗き落とす。タコの十倍も良く搗け、後日、家が沈むようなことは絶対なかった。しかし、棒材は建主が用意し、ジギヨウが終わると頭に贈るので、大変金がかかり、相当な資産家でなければなかなか出来なかったことである。

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