北本市史 民俗編 民俗編一覧

全般 >> 北本市史 >> 民俗編 >> 民俗編一覧

第7章 人の一生

第1節 産育

妊婦の禁忌
むかしは、妊産婦がしてはならない禁忌があった。油濃いものは、食べてはいけないとか、黒砂糖には、アクがあって毒だからといわれ、特に食事面に気を配った。
お産の前も後も柿を食べてはいけない。また、柿の木の下にいってはいけない。柿を食べると冷えるといわれ、出産後も百日食べてはいけない、乳が出なくなるからだという。梅干も食べると乳が出なくなるといわれた。
秋ナス(茄子)は、種がないので子どもができないとこまるので食べさせない、ゴボウの種を妊婦が飲むと流産するなどといわれ、出産後も二一日間は、甘いものは食べてはいけないといわれていた。
妊娠中に火事場の方向に向かって小便をすると赤痣の子ができるという。
家族の者が葬式のロクドウ(床掘番)に当たったら替えてもらう。まして死人に手を触れてはいけないという。
出産後、宮参り(男の子二一日、女の子三一日)過ぎまで田の中には入れない。身体が冷えるからだという。畑ならかまわないが、やはり宮参りが済むまでは、決まった仕事はしなかったという。
出産後七〇日間は、針仕事をしてはいけない。目が悪くなるからだという。
お七夜が終わると産婦は家の中の掃除ぐらいはしたが、野良へ仕事に出るのは、お宮参りが済んでからであったという。

<< 前のページに戻る