北本市史 民俗編 民俗編一覧

全般 >> 北本市史 >> 民俗編 >> 民俗編一覧

第7章 人の一生

第1節 産育

初誕生
子どもが満一歳を迎える初誕生は、特に初子のばあいは、日々の子育てを振り返って、やっと一息という安堵の気持ちで両親や家族にとってはこの上ない喜びの日でもあった。

写真6 誕生餅(下石戸下)

荒井地区のTさん(大正十二年生)は、誕生日までに歩き始めた子どもには、餅やオコワ(御強)を一升風呂敷に包み子どもが尻もちをつくまで背負わせた。丸餅や紅白の鳥の子餅でこの餅のことをタンジョウモチといった。餅は、スルメやカツオブシを付けて組合の人や親戚に配った。この日には、嫁の実家からタンジョウキモノ(誕生着物)が贈られてきたという。
朝日地区のHさん(明治四十四年生)は、歩けない子には、餅を背負わせずに、オコワ(御強)を炊いて祝った。むかしは、普段栄養のないものばかり食べていたので、誕生前に歩く子は少なかったという。たいがいの家では「うちのは歩かないからオコワでも炊こうか」といって、赤飯で子の誕生日を祝ったという。このときの餅や赤飯は、重箱に入れ、スルメ、鰹節をつけて親戚や組合の人たちに配った。
赤飯をいただいたお返しには、まめに育つようにといって豆や、しわになるまで長生きするようにと梅干をやったりもした。

<< 前のページに戻る