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第7章 人の一生

第3節 葬送

1 死と霊

ハヤヅカイ
葬式には隣組の役目とされている仕事が多い。死人が出ると両隣りに伝え、まず組合の人に集ってもらい、葬式の段取りを打ち合わせる。そして早速近しい親戚へ死を告げにいくハヤヅカイ(早使い)をたてる。これはハヤヅカイ・ツギノヒト・ヒトダテ・ハヤビキャクなどといわれ、必ず組の者二人で連れ立っていく。
死ぬとすぐ、親戚の人が「施主がどことどこをお願いしますと言っておりますので」と近所の人へ早使いを頼む。本家から分家へ、分家から舎弟の方へ、サタをして知らせる。早使いは間違うといけないから二人で行く。近所の人は親戚の家を知っていたもので、二里でも三里でも自転車で行った。行くとそこの人が、早使いにキヨメをくれる(常光別所)。
死亡通知のため親戚をまわる人をヒトダテといい、組合の人二人ずつでゆく。まわってこられた方では、清め酒などを出す(北中丸)。
人が亡くなると、組合の人が、二人一組でハヤビキャクとなり、沙汰にまわってくる。親戚そのほか通知を受けた方では、草鞋賃といって志を出した。隣組は八軒ぐらいずつである。寺や親戚へ組合の人二人でまわる役を、ツギノヒトということもある。今は電話ですましている(高尾)。
死亡通知は組合の人が二人で歩く。このことをサタに歩くという。行くといくらか足代を包む。キヨメともいう。遠い親戚へは自転車でサタに出る。重要なことだから途中で事故でもあってはいけないので、二人で行った。親戚が一〇軒あれば二〇人必要であった。今は電話や、自動車も使う(二ッ家)。
死人がでるとまずすぐ隣りに知らせる。Kさんの家の場合、四年前に連れ合いが亡くなった時、分家の人が一軒ずつ歩いて近所の人に知らせた。遠くへは、近所の人二人連れでトブライのサタに歩いた。〃一文無しでは留守番はできない〃というが、いつ弔いのサタが来るかもしれないし、来るといくらかお金を包むものだった。クミアイの家で不幸が出ると、クミアイの人が施主の家に集まり、役場への埋葬届、料理の世話までやる。施主の家の人は依頼するだけで動かない。また組合の人が二人で、親戚の家にサタに行くと、知らせてもらった方ではただでは帰さず、封筒に入れたお金をくれたり、「ブクヌキしてくんろ」と言ってキヨメの酒を出したりした(荒井)。

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