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第7章 人の一生

第3節 葬送

4 葬制・墓制

流れ灌頂(かんじょう)
異常な死に方をした人を、普通と異なった葬法で葬り、供養する場合がある。その代表例が出産で死ぬ場合である。同時に母子二人の命が失われ、出血も伴う。尋常の死とは認めがたいので、そうした産死者の場合、流れの傍らに四本の竹を立てて布を張り、そこを通る人々に水をかけてもらう流れ灌頂を行った。
荒井では、お産で産婦が死ぬと、用水に塔婆と長いさらしの端をしばりつけた竹を立てた。通る人はひしゃくで水をかけた。流れ灌頂を見ると、「また誰か死んだ」と思った。お産で亡くなった人は、堀の所に竹の笹と線香をあげてあるのでわかる。
朝日では、お産で亡くなった人はカワセガキ(川施餓鬼)を行う。
石戸宿では、お産で死ぬと、ナガレカンジョといって、流れのところに竹の笹のついたのを四本立て、サラシを四隅結わえつけて張る。そして通る人に柄杓で水をかけてもらう。これが早く朽ちて、流れ落ちるとよいという。
北中丸では、妊娠している人が死ぬと、ナガレカンジョといって、川に着物を一週間位流しておく。
深井では、昭和二十三年ころまでしていた。お産で死んだ人の供養で、川の端に竹を四本立て、サラシを張り、後ろに塔婆を立てた。塔婆にはクシやカモジを置いて、通った人がサラシに水をかけた。四十九日まで川に置いた。
杉戸町高野のお寺の施餓鬼が八月二十三日に行なわれる。中丸では、新盆の家やお産で亡くなった家は行く。

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