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第9章 年中行事

第1節 正月行事

2 大晦日

ミソカッパライ
正月前になると、トシガミサマにへイソクを飾り、ダイジングウやオカマサマなど、すべての神棚のへイソクを新しくかえる。地域の氏神様から受けてくるこれらの幣束を総称して力マジメと呼ぶところが多い。カマジメの中にミソカッパライ用の幣束も人っている。ミソカッパライというのは、大晦日に行う祓いの意である。

写真6 大神宮棚

荒井では、正月神棚に飾る幣束や注連は、須賀神社に必要な数だけ頼んで作ってもらう。二十五、六日ごろに神社総代を通じて取りにくるように通知があり、各自で貰いにいく。ミソカッパライ用の幣束は、軸が女葦でできていて、半紙が巻いてあり、長さは一尺(約三〇センチ)ぐらいである。ミソカッパライは年男がする。大神宮の祭ってある座敷や床の間のあるデイの間から始める所が多い。まず神棚からはらって、仏壇は後にするともいう。神棚や各部屋をはらって、その後家族全員の頭上をはらう。十二月三十一日と一月十五日にもお祓いをする家もある。ミソカッパライに使った幣束は、ケード(門口)に持っていって人の踏まないような所に刺してくる。大晦日には、自家製のそば粉でミソカソバをうって食べた。
高尾では、十二月十日ごろから氷川神社の神主さんが氏子の各家をまわり、それぞれの家のカマジメを作り、祝詞を上げて帰る。三十一日にミソカッパライの幣束で、神棚や家人を一人ひとりはらったあと、屋敷の門口に差しておく。ミソカッパライの幣束は、女葦に普通に切ったシデをつけたものと、ヒトガタ(人形)をした切り紙をつけたものとがあり、上に麻がくくりつけてある。ヒトガタは、一年間の穢れをこれに移して祓いさる意である。ミソカッパライ用の幣束とは別に、年祓い用の幣束も配られる。これは一年間必要に応じて使うもので、玄関の脇に差しておき、葬式から帰った時などにはこれではらう。

写真7 ミソッカッパライの幣束

石戸宿では、三十一日にお神に御飯を上げてからミソカッパライをする。時間は特別には決まっていない。年男がへイソクを持ち、そのへイソクで家中をなでまわしてから門口に立てる。大晦日のミソカッパライの時は、節分の時のように家族をなでることはしない。節分に使うへイソクも正月前に一緒に神社から貰い受けるが、これは大神宮様の棚に節分の日まで上げておく。
深井では、十二月三十一日の夜遅くなって、その家の主人が神社から受けてきた葦に切り紙を挟んだオシメを振りながら、「ミソカッパライ、ミソカッパライ」といって部屋部屋を回る。祓いのすんだあと、オシメは家の前の門の所に刺しておく。
北本では、大晦日に天神様からくるお札で体を祓い、悪い霊を集めて、駅の角の所に刺してあとを振り向かずに帰ってくる。

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