北本市史 民俗編 民俗編一覧

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第9章 年中行事

第1節 正月行事

4 六日までの行事

卯の日・卯の刻
トシガミサマは卯の日卯の刻に上がるものだといわれている。この日の早朝、トシオトコは小さな釜で御飯を炊いて、炊いたもの全てを重箱にすっかり盛り上げて、卯の刻までにトシガミサマにお供えする。また、元旦から卯の日までの日数を数えて、今年はトシガミサマが何膳食べたなどという。卯の日が早くきて、トシガミサマが早く上がる年もよくないが、十二日が卯の日に当たるなど、卯の日のあまりに遅い年もよくないという。粗相する心配があるからである。トシガミサマと卯の日卯の刻の関係であるが、卯の花の咲く卯月(旧暦四月)は、田植えに先立つ農神迎えの時期とされている。トシガミと農神との関係を暗示している。
この時期の民俗として、正月三が日は掃除をしないというのがある。金持ちになるために、出すものはたとえごみでも出さないのだと伝えているが、実は大事なトシガミサマをお迎えしている期間なので、静かに年神祭りに専念する意味であったろう。また、トシガミサマが上がる卯の日までは、年男はトシガミダナの下に一人で寝るものだった。これも身を慎んで、専らトシガミサマにお仕えしているのである。

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