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第9章 年中行事

第1節 正月行事

1 正月の準備

ススハライ
十二月に入ると障子の張り替え、ススハライ(煤払い)などの正月の準備を始めた。大掃除はススハライとかスストリといって、特に何日に行うとは決まっていなかったが、餅つき前に家ごとに大体いつごろやるか決まっていて、十二月の二十日ごろになると、どこの家でも、畳やタンス(簞笥)などを表に出して大がかりにやったので、男たちがいなくては、できなかった。畳は全て外に立てて干し、たたいてほこりを出した。台所の道具も全部外に出してきれいにした。正月を迎えるための準備であり、一種の神事と意識されていたので、神棚や床の間はトシオトコ(年男)が掃除するものとされていた家もある。ススハライに使用した竹も、粗末にならぬようクネ(竹垣)に使ったり、燃やしたりした。
石戸宿では、ススハライは十二月十三日からするものといい、十二月半ばごろ家族総出で行った。竹を伐ってきて、笹の葉をハタキがわりに使って煤払いをした。大きな家では、座敷と台所と区別して煤払いしたところもある。廊下やケコミも全部拭き掃除した。神棚はトシオトコが掃除する。
正月前には、神様に使うものはすべてきれいにする。正月に年神様に使う神の膳などは、決めておいて普段は使わなかった。シャモジなどは、正月用に新しく買っておいて、正月のお神のお供えを作る時にだけ使った。これらは、正月が終われば不断用におろして使った。正月用の品物は、石戸宿の中程の店屋のあたりに暮れの二十八日の午後に市が立ったので、そこで買い求めた。
荒井では、十二月の二十日ごろの都合のつく日をみて、煤はらいを行う。細い竹を二本用意し、先に枝を四本ぐらいつけた竹ぼうきを作って、家のクモの巣などを払う。まず、屋内から始めるが、神棚の煤はらいを先にし、仏様の方は後にまわした。この日は、お祝いでウドンかまぜ御飯を作って神様に上げたあと、皆でいただいた。
北本宿では、ススハライは一月二十日過ぎに行い、竹の笹でクモの巣などを払う。神棚からはじめて、仏壇はあとにする。屋内が終わってから、屋外の家の周りを払う。ススハライの日は、夕飯になにかカワリモノをこしらえた。農家とすれば、ウドンが最上の食べ物だったので、この日もウドンをうつ所が多かった。

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