北本市史 民俗編 民俗編一覧

全般 >> 北本市史 >> 民俗編 >> 民俗編一覧

第9章 年中行事

第1節 正月行事

6 その他の正月行事

観音参り
月遅れの小正月のころ、観音様の縁日がある。二月十七日はミソカンノン(味噌観音、大字荒井一二三一)、十八日は馬室の観音様(鴻巣市大字原馬室)、十九日は上岡の観音様(東松山市上岡一七二九、妙安寺)の縁日だった。馬をたくさん飼っていたころには、馬を飾りたて鈴を鳴らして近郷近在から、多数参拝に来た。馬を連れてお参りに行くと、お札と藁づとに入れた煮豆などをくれた。境内にはメンコやアメ、植木や日用雑貨の露店が出て賑わった。絵馬や馬にくれる笹などを求めてきた。絵馬は馬の無事を祈ってウマヤ(厩)の入り口に掛けておいた。
観音様の縁日は月の十八日であるが、正月が終わり、いよいよ春の農事が始まるころ(月遅れの二月正月だと、そのころは初午の時期にも当たる)馬の健康を祈る行事が行われたのである。馬は農業や運送に欠かせない人間のパートナーだったので、こうして祝い、また愛馬が死ぬと馬頭観音の石塔などを建立して祭ったのである。観音様の祭も著名なものを除いて消滅し、馬の絵馬も馬の減少につれて乳牛や豚の絵馬に変わり、馬頭観音の祭りもいっしか交通安全を祈願するものに変化している。

<< 前のページに戻る